2019年7月15日
王滝森林鉄道王滝本線で最も奥地にある集落、それが滝越です。今でこそ村道が通じてアクセスは比較的容易(道は狭い)ですが、森林鉄道があった頃は滝越から王滝川下流域に出る手段は森林鉄道のみという状況でした。
そんな滝越集落で昭和34年に運行開始された通学列車「やまばと号」。
明治の時代から滝越には王滝小・中学校の分校が置かれていましたが、昭和34年に本校と統合され、児童・生徒はこのやまばと号に乗って1時間掛けて田島の本校へ通ったそうです。
そんなやまばと号も昭和50年の森林鉄道廃止と共に消えてしまいましたが、当時の通学列車の編成がここ滝越集落の水”交”園に残されています。
実は水交園は滝越集落でほぼ唯一と思われる食事処でもあります。窯焼きピザが頂けるので注文して焼いてもらっている間にここの保存車を見て回ります。
やまばと号の編成
機関車はAC40型ディーゼル機関車。王滝森林鉄道の機関車や客車にはだいたい何かしらの番号が付いているものですが、この機関車に関しては形式こそ付いていますが番号はないそうです。
所属が営林署ではなく王滝村だったこともあり、管理方法が違ったのでしょうが、客車と合わせて”やまばと号”という大雑把な括りだったのでしょうか?
やまばと号の特徴はやはりこの鋼製客車。運材台車に木造小屋を載せたような簡易な客車とは違い、ボギー台車に鋼製ボディを載せた本格仕様。
側面デザインといい色といい、当時最新鋭の国鉄70系電車に確実に影響を受けていそうなスタイルです。
子供たちの安全を考えた結果の安全装備で16年の使命を全うし、今でも大切に保存されています。
そんな鋼製客車のボギー台車。簡素な構造ですが、コイルばねがあるだけ運材台車より格段に乗り心地は良さそうです。
ところでコイルばねの巻き方が対称になっているのは結構珍しい気がします。
横から。客車がちゃんとしているので、編成で見た時も整っていて美しいです。
軽便鉄道とかでもありそうなスタイル。
その他の保存車両。こちら関西電力のロータリー除雪車。直線的なデザインで結構新しそうに見えます。(昭和42年製)
ディーゼル機関車っぽいスタイルで、実際に機関は積んでいるそうですが、ロータリー用で自走はできないんだとか。
滝越から滝越発電所まで関西電力の専用線があり、そこ向けの除雪車だったものと思われますが、ごく短区間の除雪用に随分と本格的な機材を用意したものです。それだけ軌道が重要だったということでしょうか。
119号機関車はエンジンの補修中とのことでシートが掛けられていました。ただ、2012年のレポからシートを被っているのでシートが外れるのはいつのことやら…
中央西線上松駅から40キロあまり、寄り道しなくてもクルマで一時間半掛かるほどの奥地である滝越。
王滝森林鉄道王滝本線はこの先も続いていたのですが、これより先は現在管理者以外は入れない林道となっているので、焼きあがったピザを頂いて引き返すことにしました。
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